発表会は、演奏者としてだけでなく聴く側としても楽しんでもらえる場であってほしいとの思いがあります。
今年の発表会の後、はじめて参加した生徒さん達から「発表会で聴いた○○が弾きたい」という言葉があり、嬉しく思いました。
私自身、子ども頃に発表会で聴いて印象に残った曲や大きい生徒さんの素敵な演奏は、目標や憧れになったものです。
はじめて耳にしても〈強く心を捉えて離さない曲〉というものは、どんなに小さな子にでもあるようで、一生懸命感想を伝えてくれたりします。
「また聴きたい!」となることも。
そのような時は、状況に応じて、レッスンで弾いてあげたり音源を一緒に鑑賞します。
「色々な曲をもっと知りたい、聴きたい!」という生徒さんには、自宅で楽しめるようにCDを貸したりしますが、時には、数種類の盤をあえて聴き比べてみてもらうことがあります。
違いを感じることにより単に模倣するのではなく「この演奏のこのようなところが好き」とか「私はこうしたい」と自分なりの解釈が生まれたり、細やかな違いに気づく耳が育ちます。それから楽譜を紐解いてみると、入念に読み込んだ楽譜でも新たな気付きがあるかもしれません。それは学習者にとって良いことであると私は思います。
今日のレッスンでは、モーツァルトの「トルコ行進曲」が仕上げに近づいてきた生徒さんと、ギーゼキングと内田光子さんの弾く「トルコ行進曲」を鑑賞しました。楽譜には記載のないデュナーミクの差異やペダリングが興味深かったようです。