クリスチャン・ツィメルマン特別演奏会

先週、東京ニューシティ管弦楽団の定期演奏会を聴きにオペラシティコンサートホールへ行ってきました。

今回の演奏会には、クリスチャン・ツィメルマンが出演しピアノ協奏曲を演奏するとのことで数ヶ月前から楽しみにしていました。

 ~第108回定期演奏会~
     
指揮:グジェゴシュ・ノヴァック  
ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン

《ピアノ協奏曲シリーズ③》
ベルリオーズ
序曲「ローマの謝肉祭」作品9

ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58

ムソルグスキー
組曲「展覧会の絵」(ゴルチャコフ編曲)

この演奏会は東日本大震災の復興支援演奏会となっており、プログラムにはツィメルマンからのメッセージが添えられていました。

ツィメルマンは以前から演奏会で政治的な発言をする事で知られていますが、このメッセージからは、真に復興を願う気持ちと未だ解決されていない原発などの世界が抱える様々な問題に対する意識の高さが伺えました。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は崇高な美しい作品で、数多くある協奏曲の中で最も好きな作品ですが、ツィメルマンの奏でる音楽からは改めてベートーヴェンの創り上げた作品の素晴らしさや偉大さ等が強く感じられ心に深く響きました。

第1楽章最後と第3楽章のカデンツァには、ベートーヴェン自身によるもの以外に、他者により創作された様々なバージョンがありますが、今回はどちらもベートーヴェンのものでした。

演奏会の後半のメインとなる「展覧会の絵」は耳に馴染んでいるラヴェル版ではなく、ロシアの名指揮者ゴルチャコフ(1905~1976)による編曲版で、日本ではなかなか演奏される機会のないものなので実演で聴くのは初めてでした。

楽器の置き換えや音色の違いにより楽曲の印象はだいぶ変わるものですが、ゴルチャコフ版の方がムソルグスキーの原曲にある説明書きに添うような編曲や解釈がなされているとのことで非常に興味深く聴きました。

強弱などもラヴェル版とは違っていたように思います。

組曲最後を飾る“キエフの大門”はラヴェル版ですと重厚で壮大なスケールの大きい雰囲気となっていますが、ゴルチャコフ版では管楽器が旋律を高らかに歌いあげ煌びやかな美しさが感じられるものになっており驚きました。

ハーモニーの見事な美しさに感嘆しました。

今回はツィメルマンの演奏を目的に行ったのですが、協奏曲以外にこのような貴重な演奏が聴けて良かったです。

最近は以前に比べ演奏会に行く頻度は減っていますが、一年に2、3回は真に聴きたいと思う演奏会へ足を運びたいと思っています。