日本人作曲家

今月は、日本人作曲家中田喜直の評伝『夏がくれば思い出す』を読みました。

タイトルは、江間章子作詞 中田喜直作曲による歌曲「夏の思い出」の歌い出しの一節から付けられています。

「夏の思い出」は、学校の音楽の教科書に長く掲載されていたので、馴染みのある方が多いと思います。

発表会の開催が夏ということもあり、発表会の全員合唱でも過去に何度か取り上げているので、印象深い生徒さんもいることでしょう。

中田喜直(なかだよしなお/1923~2000)は、大正時代の終わりに生まれた作曲家で、「夏の思い出」以外にも歌曲「雪の降るまちを」や童謡「小さい秋みつけた」「めだかの学校」などでも知られています。
父親の中田章も作曲家で、日本の春の情景を描いた「早春賦」は、何度も音楽の教科書に取り上げられています。

喜直は、自身の手が小さくピアノ演奏に苦労した経験から、小柄な日本の子どもたちの為のピアノ曲も数多く作曲しました。
発表会やコンクールで今も人気の高い「エチュード・アレグロ」は、子どもがピアノに興味を持って楽しく弾けるような創意工夫に溢れた作品で、華やかな提示部と中間部の美しい旋律との対比が印象的です。

子どもの為の作品でも「純粋に良い音楽を」との思いで作られている中田作品は、大人になった今でも魅力的に感じます。